「おにーちゃーん! 早く起きないとガッコ遅刻しちゃうよー」
朝、俺はそんな妹の声で目を覚ました。
長い長い夢を見ていた気がする。
いや、あれは現実に起きていたことの様な気がする。
だが、一秒一秒時が刻まれるたびにその記憶が失われていく。
「おにーちゃーん! いつまで寝てるのよ。ほら、起きて!」
そう言いながら妹が、俺を布団越しに踏みつける。
「いてて。もう起きてるよ友梨……」
だが、その訴えは彼女には届かず、踏まれ続ける。
ぐにゃ。
「……ぐにゃ?」
事もあろうに友梨はとてつもないところを踏みつけた。
布団越しとはいえ、その威力は凄まじい。
俺は、激しくベッドの上を転がり、その傷みにぷるぷると震えた。
「どうしたのお兄ちゃん?」
どうしたのじゃない。
踏みつける力がもう少し強ければ、俺はきっと女になっていただろう。
「早く起きてきてね。ご飯さめちゃうから」
そう言って彼女は俺の部屋から出て行った。
凄く嫌な朝だ。
そんなことを思いながら制服に袖を通す。
何か大切なことを忘れている気がする。
それはあの夢と関係する何か。
だが、俺の頭の中にあの事は欠片も残っていなかった。
まあいいや。
学校に行こう……。
それはある夏のありふれた日の一つだった……。
あとがき
最後まで読んでくださってありがとうございました。
そしてお疲れ様です。
この物語は、二週間で書き上げました。
嘘です。
これは、高校の時に書いた小説(書きかけ)をリメイクしたり追加したりして出来た作品です。
最初の方と最後の方では、文章の書き方が違ってきているので、もしかしたら気づいた方もいるかも知れません。
幾つか埋めた伏線を使いそこねたのはここだけの秘密です。
さて、何やら不思議な終わり方をしていますね。
でも、この物語はこれでお終いです。
もしかしたら、エピローグがプロローグになって次の話が生まれるかも知れません。
ラブコメ学園物とか……。
ですが当分は、短編を大量に流していくので取りあえずここで完結。
これからも応援よろしくお願いいたします。
by夜月日陰
2006/07/31(月)