二章.十一話
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食堂には、大勢人がいた。

昼時ということもあり、かなり混んでいる。

やはり辞めようかなど考えていた時、見知った顔が、ぶんぶんと手を振り、ハークを招く。

彼女はエリ。ハークのパートナーだ。

「ハークゥ〜。こっちこっち一緒に食べよ〜」

「ああ・・・。有り難う」

カウンターでB定食を受け取りエリの元へ。

「ハークが食堂に来るなんて珍しいね?ジェラルやユリアスと喧嘩でもしたの?」

「ん。そうじゃないけど色々あってここで喰うハメになった」

「さっきの、ユリアス愛してる〜で?」

確信犯。

「聞いていたのか?」

「ううん。ここまで聞こえたよ」

ここまで、聞こえたとは愛の力はすさまじい。

「で、その後のふたりは?」

エリが、触れるか否かの所まで顔を近づけて攻め寄る。

「恥ずかしくて見ていられなかったよ」

「ふわぁ〜。じゃあ、二人ともいい感じなんだ?」

「ああ。結婚するらしい」

「ふぇ?」

エリはもの凄く不思議な顔をする。

「まあ、色々なんだよ」

「色々ね・・・。兄としては複雑な心境ですな♪」

「ああ、これからは八倍疲れそうだ」

ジェラルだけでも、厄介ごとが絶えない。それにユリアスが加わったらどうなるのか心配だ。

ユリアスはああ見えて、ジェラルに負けず劣らずのトラベルメーカーだから。

「ねぇ、ハークにはそう言う人いないの?」

「いないよ?何で?」

エリの口元が少しほころぶが、ハークはそれにきづかない。

「聞いてみただけだよ〜。じゃ、あたし先に戻るよ」

なんだかよく分からないが、エリはとっとと行ってしまった。

取りあえず今は、目の前のB定食を頂く事にした。



その夜デッペルグは、400年ぶりの嵐に見舞われていた。

だが、デッペルグはその地理などの関係により、荒らしなどあり得ないはずなのだ。

しかし、デッペルグの歴史には、稀にこういう事が起きる。

こういう時は必ず、不吉なことが起きるのだが・・・。

果たして、この嵐はどの様な不幸を運んで来るのだろうか・・・。

雷と激しい雨音のなか、黒いローブを着た七人の怪しい人間の姿があった。

彼らは、嵐にひるむことなくまっすぐに神殿へ向かっていた

ハーク達は仕事を終え、寮へ戻っていた。

「嵐だ。今日は変なことばかり起こったからな・・・」

ハークは窓の外を見て雨音を聞きながら一言そうつぶやいた。

「何か言ったか?ハーク」

「何でもない」

ジェラルは、困惑するが、直ぐにぼけーっと天井を見つめる。

昼食後からずっとこうだ。

何を言っても直ぐにこんな状況に陥る。

恐らく、恋の病という奴だろう。どんな魔術をもってしても治療は出来ない。

そんなジェラルの反応にため息をついたその時。

ばん!

けたたましい音を立ててドアが開いた。



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