二章.十二話
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こんな時間に何事か?

二人は同時にドアと視線を移す。

するとそこには、濡れて色っぽくなった女教師が血相を変えて入って来る。

「ミィーチェちゃん!?」

唯一の天敵ミィーチェの登場により、ジェラルはしゃんとして立ち上がる。

「ジェラル!ハーク!決して外に出るな!!霧が出た!」

「はいっ!」

ジェラルが条件反射でびしっと応答。

ミィーチェは、ハスキーボイスでそれだけ言うと直ぐに出て行った。

「で、ハーク。霧が出ただけでミィーチェちゃんは、何であんなにあわてているんだ?」

「バカ。霧って言ったって普通の霧じゃないんだよ」

「普通じゃない霧ってどんなのだよ・・・」

「魔力の霧だよ」

「はぁ?」

理解できず、少しキレ気味のジェラル。

「つまり・・・」

魔力の霧とは、超常現象の一つで、魔力と言えばこの国では、二つの意味を持つ。

一つは、どこにでも存在する魔術の元となるエネルギーの事。

そしてもう一つは、そのエネルギーをどれだけ集められるかという個人の能力。つまり、器を指す。

この、魔力の霧は、前者の魔力が、高密度の粒を形成し、それが文字通り霧状になったもののことを言う。

その、魔力の霧に包まれると、魔術師の持つ後者の魔力の分だけそれが体内に吸い込まれ、アレルギー症状を引き起こす。

これは、この国の人間独特のもので、魔力に対する抵抗。

つまり、ある程度魔術に対する免疫のようなものが存在し、それが、魔力に過剰反応して起こる現象だ。

このため、魔力が自分の魔力の限界を超えて体内に入り込むと、自律神経が強制的に魔力を体の外に出そうとする。

そうなると、高熱を発し、体力を奪われる。

なおかつ、外に出た魔力の分だけまた新しい魔力が入り込むので延々と体力を奪い続ける。

そして、死に追い込む。

何故、このような現象が起こるのかは、まだ、解明されていない。

だが、魔力で結界。若しくはシールドを張れば防ぐことが出来る。

しかし、魔力は目に見えないため、対応が遅れる。

その為、発見次第神殿に伝わり、警告が発せられる。

「と言うわけだ」

「何だよ・・・。その丸暗記は・・・。ようは、魔力の霧が出ていて、知らずにその中に入ると死ぬってことだろ?」

「まあ、お前なら霧に包まれても全て吸収できそうだな」

「ああ。絶対死ぬことはねぇよ」

「たいした自信だな。」

だが、この男なら絶対死なないだろう。

何せ山を消し飛ばす男だ。

ばん!

再びけたたましい音を立ててミィーチェが入ってくる。

「ハーク!来い!」

「何かあったんですか?」

「いいからついて来い!・・・お前も一応ついてこいジェラル」

「おれも?」

ふたりはよく分からないままミィーチェの後を追った。



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