二章.十八話
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ある日早朝。ジェラルとユリアスは、神殿の北にある図書館にいた。

別段特別な事はない。見習いとして、まだ、世に知られていない魔法を探し、解読、研究。そして整理するのだ。

「さあてジェラル。今日のノルマは30!見つけるまで返さないからな」

「そりゃないぜ、ミィーチェちゃ〜ん」

ちなみに、一流の魔術師でも、一日に2,3見つけられれば奇跡である。

途方もない量のノルマにやる気を失う。

「ほぉ。口答えするか。いい子だ。特別に50にしてやろう」

「ジェラルぅ」

増えたノルマに涙目になるユリアス。

「行くぞユリアス!これ以上ノルマが増える前に!」

そう言って、手近にある本棚に手をふれ魔術を組み立てる。

すると、幾つかの本棚の前に赤い光がうまれる。

これは、ただの目印で、チェック済みの棚とそうで無い棚を見分けるための措置だ。

「うーん。今日はあっちに行ってみようぜ!」

「うん」

適当に光の現れなかった棚を目指す。

「まずはこれからだ」

そう言って、棚の端から一枚巻物を抜き出して、ざっと読む。

だが、目新しい術式は記載されていない。

次に移る。特に目新しいものはない。

次に移る。特に目新しいものはない。

・・・。

おおよそ、ジェラルの性格からは信じられないような光景だ。

しかし、彼の技術は主にこの図書館のものである。

やる気云々よりも、ミィーチェという恐怖から始めたものだが、今は嫌いではない。

「お?これ、新しいぞ。詳しく調べてみてくれ」

「うん。解った」

そう言って巻物を手渡す。

ジェラルは、その魔術のレパートリーの多さから、新しい魔術を探す。

ユリアスは、その新しい魔術を解読すると、担当分けして行っている。

そんな感じで、日々を過ごす。



所変わって、ハークとエリ。

彼らの場合は、ユリアスやジェラルとは違い、騎士団の団長により、既に実務に当てられている。

団長の名は、ドレイク。白髪で、皺も多く見られるが、その肉体は衰えていない。

騎士団の主な仕事は、治安維持の為に町中を巡回することである。

と言っても、これだけ小さな国なので犯罪など、数年に一度起きる程度。

故に、普段はボランティアとして、貢献している。

そして今は、町中のどぶさらいを行っている。

「ハ〜クぅ。騎士ってナンダロウネ」

「ああ。何ナンダロウナ・・・」

嵐の後なので、ドブというドブが全て泥で埋め尽くされている。

その作業量を想像しただけで、2人は現実から逃避する。

「う〜。臭い〜」

「これも修行だ。我慢しろ」

「絶対例の不審者探す方が騎士っぽいって・・・」

「ああ・・・。そうかもな。だがな、俺たちは見習いだから」

言いながらもがしがしとドブをさらう。

「こんな姿で、お昼ご飯食べたくないよう・・・」

あまつさえ、泣き始めるエリ。

確かに食欲はわかないよなあ。まあでも、平和が何よりだ。

そんな感じで、平和な一日だった。



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