四章.二十八話
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 その日の夕方。

 あれから、三人は神殿に着くと直ぐ、ドレイクに兵舎へと呼び出された。

 兵舎にはミィーチェもいた。

「さて、何で呼び出されたかわかるな?」

 サディストの声は、低く耳に残り恐怖を覚える。

 ごめんなさい。

 条件反射でジェラルは、心の中で謝罪を繰り返す。

「全く馬鹿共が。ドレイクがハークだけでなく、お前らまで探し回るハメになったんだぞ」

「ミィーチェ。私は別に……」

「ドレイクだけじゃない。お前ら一体何人の人間を振り回したと思っている」

 カタカタと震えるジェラル。

「一言ぐらいかけてけ。この大馬鹿ども」

 乾いた音が兵舎に響く。

 ミィーチェが鞭をジェラルに振るったのだ。

「っ……」

「ジェラル大丈夫?」

 苦痛にもだえるジェラル。

「ついでにお前、仕事をさぼっただろう」

 もう一発。

「それは私も同じです!」

「お前ら罰として、ハークを見つけるまで戻ってくるな!」

 更に一発。

 痛みに耐えられず、床に伏せ転がり回る。

「何で俺だけ……」

 その言葉で更に鞭が振られる。

 だが、これでハークを自由に探すことが出来る。

 もしかして、ミィーチェちゃん。俺たちのことを考えてくれたのか?

「ミィーチェちゃんありがとう!」

「何? そんなに気にいったのか?」

「あ〜。とうとうそっちの道に走っちゃったかあ」

「ジェラル……」

 本気で心配そうにユリアがジェラルを見つめる。

「違う! そうじゃねえ!」

 だが、訴えは届かない。

 ミィーチェは、過去に見たことがない程の笑みを浮かべてジェラルを叩く。

「違うんだって!」

 その日、その叫びはいつまでも兵舎に響き渡ったという。



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