その日の夕方。
あれから、三人は神殿に着くと直ぐ、ドレイクに兵舎へと呼び出された。
兵舎にはミィーチェもいた。
「さて、何で呼び出されたかわかるな?」
サディストの声は、低く耳に残り恐怖を覚える。
ごめんなさい。
条件反射でジェラルは、心の中で謝罪を繰り返す。
「全く馬鹿共が。ドレイクがハークだけでなく、お前らまで探し回るハメになったんだぞ」
「ミィーチェ。私は別に……」
「ドレイクだけじゃない。お前ら一体何人の人間を振り回したと思っている」
カタカタと震えるジェラル。
「一言ぐらいかけてけ。この大馬鹿ども」
乾いた音が兵舎に響く。
ミィーチェが鞭をジェラルに振るったのだ。
「っ……」
「ジェラル大丈夫?」
苦痛にもだえるジェラル。
「ついでにお前、仕事をさぼっただろう」
もう一発。
「それは私も同じです!」
「お前ら罰として、ハークを見つけるまで戻ってくるな!」
更に一発。
痛みに耐えられず、床に伏せ転がり回る。
「何で俺だけ……」
その言葉で更に鞭が振られる。
だが、これでハークを自由に探すことが出来る。
もしかして、ミィーチェちゃん。俺たちのことを考えてくれたのか?
「ミィーチェちゃんありがとう!」
「何? そんなに気にいったのか?」
「あ〜。とうとうそっちの道に走っちゃったかあ」
「ジェラル……」
本気で心配そうにユリアがジェラルを見つめる。
「違う! そうじゃねえ!」
だが、訴えは届かない。
ミィーチェは、過去に見たことがない程の笑みを浮かべてジェラルを叩く。
「違うんだって!」
その日、その叫びはいつまでも兵舎に響き渡ったという。