四章.三十二話
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 その後。

 ハーク達は、爺に応接間に案内されそこで、ロジャーが来るのを待っていた。

「でも以外だな。ハーク君が魔術使えるなんて」

「いえ、大したことは出来ません。剣が主体なので……」

 興味津々あれできる? これ出来る? と迫られる。

 そんなやりとりをしていると、ロジャーが入ってきた。

「やあ。待たせたね」

 ロジャーは青ざめた顔でゆっくりと部屋に入ってきた。

 先ほどのエーシャの一撃が、かなり堪えているのだろう。

「大丈夫ですか?」

「これぐらい慣れているよ……」

「ハークにさっきの事謝りなさい」

「……」

 そっぽを向くロジャー。

 恐らく認めたくないのだろう。

 だが、エーシャは容赦なく先ほど折れた胸にもう一撃入れようとする。

「申し訳ありませんでした!」

「最初から素直に謝ればいいのに」

 そう言って、ぴんっと指でロジャーの胸を弾く。

「っが!」

 ロージャーは、苦痛な顔をしてうずくまる。

「ハーク君! 私はエーシャを諦めないからな!」

「諦め無いって言われても最初から何も無いですから」

「……っ。無かったことにしようとしているのか!」

 何を言ってもダメな人だ。

 ロジャーの性格にふと仲間のことを思い出し頭痛に苛まれる。

 俺の周りには良く人の話を聞かない人が集まる……。

「まあいい。うちにしばらく置いて欲しいと言うことだったな?」

「ええ。実は……」

 エーシャは、いきさつを説明するとロジャーは少し考えるそぶりを見せる。

 それも無理は無いだろう。化け物が村に入り込んできたのだ。

「成る程。事情はわかった。好きにすればいい。セバスチャン。後は頼む」

「かしこまりました。直ぐにお部屋のご用意を」

 ロジャーは、そう爺に告げるとスタスタと何処かへ行ってしまった。

「では、お二方こちらへ……」

 その場を爺が引継ぎ部屋へと案内された。

 

 夜。ロジャーの計らいによって夕食をとったハークは、セバスチャンに案内された部屋にいた。

 今回は、エーシャとは別の部屋だ。

 ゲスト用の寝室と言うことだが、見たこともない豪華な部屋だった。

 壁には絵画が飾られ、ベッドは重厚のある木製で、その上には派手な模様の布団が乗っている。

 てっきりあんな様子だから、屋根裏にでも押し込められると思った……。

 早速、用意された着替えに変え明かりを消して布団に潜り込む。

 至極柔らかかった。

 ハークはそのまま眠りについた。

 が、暫くすると何かの気配に気づき目を覚ます。

 すると、何者かがドアから侵入してくる所だった。

 誰だ?

 ハークは気づかれぬよう、そっと息を殺す。

 したっ。したっ。

 近づいてくる足跡。

 それが丁度止まったところで目を開き、侵入者を突き飛ばす。

「きゃっ」

 女の悲鳴。

 構わず押さえつけ、魔術で明かりを灯す。

「エーシャさん!?」

「ハーク君……。重い」

 慌ててエーシャから飛び退くハーク。

「一体どうしてこんな時間に?」

 「眠れなかったから……」

 どっと緊張感が解ける。

「脅かさないでくださいよ」

「私、そんなつもりじゃ無かったの……」

 人のぬくもりが忘れられず、ここに来たらしい。

 少しの間だ会話をして、エーシャを部屋に帰し眠りにつく

 しかし、再び気配を感じ、苛立ちを覚えながらもそちらを振り向く

 するとそこにはエーシャではなく……。



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