――白。
雲の中を歩いたらきっとこんな感じなのかも知れない。
ハークは翌日、ジェラルとエリを連れて再び霧の中へと赴いた。
ユリアスについての手がかりは無い。
だが、七人の男がデッペルグにいるなら何か解るかも知れない。
そう思い霧へと踏み込んだのだ。
「で、そのスティアって言う人はどんな人なんだ?」
「え〜っとね〜。凄く説明が下手な人」
よくわからないな。
デッペルグに戻る前に、霧を感じる事が出来るという不思議な女性に会いに行くことになった。
理由は、七人の男がまだデッペルグにいるのか確かめるため。
もしいなければ、デッペルグに戻っても無駄足になる。
「ジェラル。後どれぐらいで着くんだ?」
「もうすぐだ」
ジェラルがそう言った次の瞬間。
突如目の前から霧が消滅し、村が現れた。
「なっ……」
驚き、辺りを見回す。どうやら霧が晴れたわけではなく、ここに霧が存在しない様だ。
更に女が現れる。
「こんにちは。あなた達が来ることは解っていたわ」
その女に続いて挨拶を交わす。
青い瞳。青く長い綺麗な髪。そして、全身薄い青で統一された服を身に纏っている。
その女は何処か神秘的なものをかもち出していた。
「始めまして、ハークと言います」
「こちらこそ初めまして。みなさんが探していたのはあなただったのね」
そう言って、まじまじとハークを見つめる。
何だろう。何かおかしなところがあるのだろうか。
「あなたもなんですね。そのロープはやっているのですか?」
あったらしい。
霧に入る前にジェラルに巻かれたのだが、やはり変なのだ。
「例の七人の男について聞きに来たのですね。ええ、変化がありました」
「本当ですか? やはり既にデキタイトへと戻っているのでしょうか?」
「はい。ですが、七人全てではありません」
エリの言っていたことが、よくわかる気がする。
彼女の言葉には違和感がある。
「と言うと?」
「デキタイトへ戻ったのは五人です。後の二人はこの霧を通っていません」
どういう事だ。
五人戻って二人デッペルグに残っていると言うことか。
「有り難うございます。助かりました」
「いえ、お気になさらずに。また来てくださいね」
そう言って、その場を後にする。
「で、どうするんだ? デキタイトに引き返すのか?」
「いや、デッペルグに戻ろうと思う。二人見つけ出せば何か解るかも知れない」
そう言ってデッペルグへと足を向けた……
2006/07/28(金)