――ハーク達は瓦礫からよろよろと這い出す。
ジェラルが魔術を放ったとき、シールドを這ったため致命傷にはならなかった。
「おいジェラル。どうするんだよこれ」
どうするんだとは、勿論不審者のことだ。
これでは見つかったとしても生きてる補償は無い。
「過ぎたことをとやかく言うなよ」
少しは反省してほしいものだ。
ジェラルが魔術で瓦礫を取り払う。
すると、その下から顔までローブで隠した男二人が見つかった。
「ほら。みつかったじゃねーか」
誇らしげにいわないで欲しい。
ともかく男二人の脈を計る。
どうやら気を失っているだけらしい。
「取りあえず、こいつらを連れて神殿に戻ろうぜ」
そう言って、またどこからかあのロープを取り出すと、男達をそれで縛った。
男達をずりずりと引きずりながらハーク達は神殿へと戻った。
「ほう。これが例の不審者か……」
神殿に戻ると直ぐにミィーチェの元に来た。
尋問をするならこれ以上の適任は無いだろう。
早速といわんばかりに水を持ってくるとそれを男二人ぶちまけた。
「げぼっ……」
そして、早速といわんばかりに一人ずつ鞭を容赦なくたたきつける。
「なっ!?」
男達は一様に痛みよりも、今の状況に困惑している。
「何のためにユリアスを連れ去ったんだ?」
ミィーチェは答えを待たずに鞭を何度も振るう。
その様子にようやく状況が読めた男達は知らないと首を振る。
おそらくは、拷問に対する訓練を受けているのだろう。
幾らミィーチェが鞭を振ろうとも微動だにしない。
「ほほう……。貴様らなかなか楽しませてくれそうじゃないか」
ミィーチェによるショーが始まった。
男達は知らない。
この女が他人の痛みを糧に生きていることを……。
……三時間後。
男達はとうとう口を割った。
ミィーチェの誇る使ったら死ぬんじゃないかと思われる道具の数々。
それで、彼女は本当に死ぬ一歩手前までいたぶり続け、魔術で回復させる。
これを繰り返したのだ。
もはや人の道を外れているとしか思えない。
その間、終始ジェラルはがたがたと震えていた。
恐らく彼もまたこの仕打ちを受けたことがあるのだろう。
男達によるとユリアスはデキタイトにあるアジトにいるらしい。
らしいというのは、彼らはここに残っていたため詳しいことは解らないのだという。
これだけいたぶられたのだ。もう嘘をついていたりはしないだろう。
「で、ミィーチェちゃん。この人達一体どうするんだ?」
「そうだな。私のペットとして一生遊んでやろう」
二人の男はそれを聞き気を失った。
頭の中で、今あったことを繰り返し絶望に至ったのだろう。
「おい、ハーク。解ってるな? 直ぐにユリアスを探しに行ってこい!」
「はい!」
一秒でも早くこの場から離れたかったハークは即答する。
そして、エリとジェラルを連れて直ぐにデキタイトに向かうことにした。
その夜から、夜な夜な彼女の部屋から悲鳴が聞こえて来る。という七不思議が誕生したのは秘密である。
2006/07/29(土)