――かくして歴史は繰り返された。
逃げまどう人々。
燃える家屋。
その日その街は、絶望という名の街になった。
どんなに逃げようとも追ってくる恐怖。
例え女容赦なく殺す悪魔達。
叫びとなった訴えが街にこだまする。
街に存在した兵は全て焼かれた。
かつてこの町を幾度と無く守ってきた壁も内側の敵には勝てない。
度重なる流血と焼けた淡泊質の臭い。
それが悪魔の糧になる。
神に願う者。
その願いは悪魔が喰らう。
隣人に助けを求める者。
だが、その隣人は既にいない。
もはやそこは街ではない。
墓場だ。
……許さない。
…許さない!
許さない!!
何故、二度もこんな事が起きる?
誰が望むというのだ。
また一つ家が焼かれた。
許さない。
また一人殺された。
許さない。
悪魔はその墓場から飛び出し外の世界へと駆けていく。
無限の意思達はやがて世界を滅ぼすだろう。
また一つ村が焼かれた。
許さない。
また一つ国が滅んだ。
許さない。
また一つ大陸が消えた。
許さない。
もはや時間の問題だろう。
全てが食らいつくされるのは。
やがて、この世から魔力が無くなった。
そう。
この星は死んだのだ。
許さない。
だが、悪魔は滅びなかった。
次の星々を探して。
次の銀河を探して。
次の宇宙を探して。
許さない。
絶対に許さない。
そんなことは絶対に許さない。
その叫びは全ての宇宙へと響き渡った……。
2006/07/29(土)