最終章.四十七話
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 何だろうこれは。

 夢?

 いや違う。

 誰かの叫びか。

 しかし、リアルだった。

 もしかしたら俺たちはあの運命をたどるのだろうか。

 だとしたら何とかしなくちゃいけない。

 でもどうやって!

 ……させません。

 え?

 ……あのようなことはさせません。

 誰?

 いや、俺はこの人を知っている。

 ……私は、ユリアです。

 やっぱりあなただったんですね。

 これがユリアだという確かな確信が俺にはあった。

 ……しかし、これはこの後起こる現実です。

 それはどういう意味です?

 ……あなた方では、ジースに敵いません。

 つまり負けるということらしい。

 しかもそれで世界が滅びると。

 では、どうすれば?

 ……それは……。

 それは?

 ……私の力を使ってあなたを過去に送ります。

 過去? まさか、ユリアスを甦らせるなと?

 ……もっと前。そう、私達のいた時代にあなたを送ります。

 そこで俺は一体何をすればいいんですか?

 ……それはあなたにお任せします。

 なっ。それでは困ります。

 ……道は一つではないのです。要はあの術を使わなければ良いのです。

 成る程。

 ……ですが気をつけてください。

 何をですか?

 ……チャンスは一度だけです。失敗したらそこでお終い。

 それはどういう事ですか?

 ……私はあなたに術をかけます。その術はあの日。ジースが消えたあの日が終わると共にあなたを元の時代に戻します。

 はい。

 ……つまり上手く行くにしろ行かないにしろ。私がまた、あなたに助けを与える事が出来るのはこれきりなのです。

 つまり、未来が変わってしまうからですね?

 ……その通りです。あなたを過去に送る。その時点でこの未来は大きく変わるのです。

 下手をしたら俺やみんなは生まれて来ないんじゃ……。

 ……はい。

 それはあんまりです。

 ……あなたは滅びを選ぶのですか?

 いえ……。

 ……では肯定とみなしあなたを過去に送ります。

 解りました……。

 そう答えた瞬間視界が黒くなり視界は闇に堕ちていった……。


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2006/07/29(土)