一章.二話
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 何で死にたいんだっけ。

 ああ。

 めんどくさいからだ。

 生きてるのが。

 死ぬのもめんどくさい。

 誰か寝てる間に殺してくれるとか、大地震で眠っている間に死んでいるとか……。

 そんな感じで終わって欲しい。

 取りあえず息を止めてみる。

 2分近くで限界。

 なら、それを繰り返して脳に送られる酸素を減らせばいいんだ。

 2分息を止めて吐いて2分息を止めて吸って……。

 すーっとしてくるが絶対死ねない。

 自分が馬鹿に思えてきたので止める。

 本当にいつからだろう。

 昔は、不老不死になってでも死なない。

 そう考えていた。

 でも今は逆に死を望む。

 変な話だ。

 頭を一度ガリガリと掻いて煙草に火をつける。

 どうせならかっこよく死にたいよな。

 車にはねられそうになっている子供を助けるとか。

 そんなドラマや漫画みたいに都合良くそんな場面に出くわさねえ。

 午前3時だというのに声を出して溜息を吐く。

 もう一回やってみるか。

 煙草を吸いながら先ほどの息を止めて吐いて吸ってを繰り返す。

 酸欠とヤニでくらくらする。

 だが、一時間たっても変化は無かった。

 もう寝よう。

 そう思い、水も無しに安定剤を口に放り込む。

 ああ、そうだ。

 首を絞めたまま寝たら死ねるかも知れない。

 タンスからハンカチを取り出して首を絞める。

 ぎゅっと息苦しくなるぐらい……。

 いや、痛いぐらい首を絞って無理矢理それを結ぶ。

 ああ。

 これなら死ねるかも知れないな。

 遺書って必要なんだろうか。

 別に残す財産もなければ残したい言葉なんて無い。

 何よりめんどくさいという理由で却下だ。

 死んだ人間がどんな言葉を残してもしょうがないじゃないか。

 また、声を出して溜息を吐いた。

 首を縛っているせいで、ひゅーっと音がする。

 死ぬってどんな感じだろう。

 5感の全てが停止する?

 当たり前か。

 じゃあ、格好の良いのを考えてみる。

 一つの世界が終わる。

 キザだな。

 まあ、いいや下らないことを考えてないで寝よう。

 小さい頃の遠足の前夜の様なわくわくを感じながら目をつぶる。

 もう、二度と目覚めぬ事を祈って……。


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2006/08/02(水)