――寒い。
俺はその日の寝床を探していた。
ホテルに泊る金はない。
だが、既に歩き続けて足はボロボロだ。
深夜2時を回っている。
雨が降ってきた。
これじゃ、下手なところで休めないな。
そう思い辺りを見回す。
丁度高速道路の架橋の下辺りは雨はしのげそうだ。
何処かベンチが無いかとそれに沿って歩く。
さすがに地面に直接寝ていたら通報されかねないだろう。
ようやく見つけたベンチに腰を下ろし溜息を歯吐く。
安定剤落としちまったのは痛いなあ。
だが、過ぎたことをどうこう言ってもしょうがない。
ふと携帯電話の電源を入れてみる。
数件のメールが入っていた。
読まずに消した。
ボストンバックから、煙草を取り出し火をつけた。
息を吐くと寒いだけあっていつもより多く煙がでる。
こんな時間にもかかわらず頭上を走る車が鬱陶しい。
寒い。
沖縄にいたからだろうか。
10月の大阪の夜風は冷たい。
むしろ、氷点下なんじゃないかってぐらいだ。
煙草を携帯灰皿に突っ込んで火を消す。
なんで、沖縄から東京に行くフェリーが無かったんだよ。
日に焼けた腕をダウンの中にしまい込む。
まあ、いいか。
大阪で、賭けに負けたのが悪いんだし。
あーあ。
長い間うろつき回って、出会ったのが電車賃をねだる男。
プラス詐欺2人とは笑える。
世の中こんなもんか。
先ほどコンビニで買ったオニギリを口に放る。
冷たい。
お茶を飲む。
冷たい。
せめてお茶はホットにすれば良かったと後悔する。
京都まで後どのぐらいだろうか。
ボストンバックをごそごそと探って関西MAPを開く。
大阪からここまで来た道の半分。
明日中には何とか着くかな。
オニギリの入っていた袋に食べかすを全部突っ込む。
それをポケットにしまい、寝ることにする。
ボストンバックが枕だ。
暫く横になるが寒くてなかなか寝付けない。
おいおいおい。
人間寒いと眠っちまうんじゃないのかよ。
雪山とかさ。
そんなことを考えている間に俺はいつの間にか寝ていた……。
2006/08/02(水)