一章.三話
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 ――寒い。

 俺はその日の寝床を探していた。

 ホテルに泊る金はない。

 だが、既に歩き続けて足はボロボロだ。

 深夜2時を回っている。

 雨が降ってきた。

 これじゃ、下手なところで休めないな。

 そう思い辺りを見回す。

 丁度高速道路の架橋の下辺りは雨はしのげそうだ。

 何処かベンチが無いかとそれに沿って歩く。

 さすがに地面に直接寝ていたら通報されかねないだろう。

 ようやく見つけたベンチに腰を下ろし溜息を歯吐く。

 安定剤落としちまったのは痛いなあ。

 だが、過ぎたことをどうこう言ってもしょうがない。

 ふと携帯電話の電源を入れてみる。

 数件のメールが入っていた。

 読まずに消した。

 ボストンバックから、煙草を取り出し火をつけた。

 息を吐くと寒いだけあっていつもより多く煙がでる。

 こんな時間にもかかわらず頭上を走る車が鬱陶しい。

 寒い。

 沖縄にいたからだろうか。

 10月の大阪の夜風は冷たい。

 むしろ、氷点下なんじゃないかってぐらいだ。

 煙草を携帯灰皿に突っ込んで火を消す。

 なんで、沖縄から東京に行くフェリーが無かったんだよ。

 日に焼けた腕をダウンの中にしまい込む。

 まあ、いいか。

 大阪で、賭けに負けたのが悪いんだし。

 あーあ。

 長い間うろつき回って、出会ったのが電車賃をねだる男。

 プラス詐欺2人とは笑える。

 世の中こんなもんか。

 先ほどコンビニで買ったオニギリを口に放る。

 冷たい。

 お茶を飲む。

 冷たい。

 せめてお茶はホットにすれば良かったと後悔する。

 京都まで後どのぐらいだろうか。

 ボストンバックをごそごそと探って関西MAPを開く。

 大阪からここまで来た道の半分。

 明日中には何とか着くかな。

 オニギリの入っていた袋に食べかすを全部突っ込む。

 それをポケットにしまい、寝ることにする。

 ボストンバックが枕だ。

 暫く横になるが寒くてなかなか寝付けない。

 おいおいおい。

 人間寒いと眠っちまうんじゃないのかよ。

 雪山とかさ。

 そんなことを考えている間に俺はいつの間にか寝ていた……。


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2006/08/02(水)