一章.七話
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――安定剤をありったけ飲んでみた。

 学校帰りファーストフード店でコーラと一緒に。

 もしかしたら死ねるんじゃないかと思って。

 だが、帰りの電車から降りても何の変化も無い。

 ふと、遺言ついでに友人にメールを送ってみることにする。

『あは。薬ありったけ飲んでみた』

 数秒もしないうちにそいつから電話が掛かってきた。

「何やってんだよ馬鹿」

 奴の声はマジだった。

「いや、一杯飲んだら楽しくなれるかなって」

「……もう知らん」

 そう言って奴は電話を切った。

 そんなに熱くならなくてもいいじゃねーか。

 そう思いつつも反省する。

 死ぬときは誰にも告げずに死のう。

 心に誓った。

 後日奴が心配して別の友人に相談してたことを知る。

 ごめんなさい。

 俺は、そのままフラフラと家に帰った。

 別に何にも変わらないじゃないか。

 最近の薬は大量に摂取しても死なないように出来ているのか?

 死にたい奴は死なせてやればいいじゃないか。

 そんなこと考えつつ家に到着。

 そのまま自室に眠りに行く。

 沢山薬を飲んだだけあって直ぐに眠れた。

 次に目を覚ましたときには夜中の3時。

 至極よく眠れた。

 それ以外何もない。

 することも無いのでネットでもすることにする。

 自殺志願者の集うチャットへと。

 適当な名前ををつけて適当に入って挨拶をする。

 13人ぐらい居るだろうか。

 結構賑わっている。

 内容は様々だ。

 何回自殺しただとか、どんなのを試したとか。

 そんな深く暗い所。

 そして俺もそんな一人。

 ここは至極落ち着く。

 誰と無くチャットで死にたいと訴える。

 すると、一斉にそれを訴える。

 チャットはあっという間にそれで埋め尽くされる。

 なんだかな。

 こういう所から練炭自殺の仲間をつのっているのだろうか。

 やがて、死にたいコールのラッシュも終わり実況が開始される。

『今、いつもより深く腕を切ってみた』

『まじで!? 俺もやる!』

 次々と名乗りを上げ始めた。

 一体この日何人が死んだんだろう。

 俺はそっといつものように煙草に火をつけながらそんなことを考えていた……。


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2006/08/04(金)