一章.八話
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 ――生きてる。

 俺は自分が震えているのに気がつく。

 寒すぎだ。

 路上で生活している人々に同情。

 手の震えが止まらない。

 ガタガタと震える手で煙草に火をつけ大きく息をすう。

 そして大きくそれを吐き出す。

 ふと、時計を見ると午前5時半。

 止まっていても寒いだけだな。

 そう思い、ボストンバッグから関西MAPを引っ張り出す。

 また、今日も一日足が痛くなるまで歩くことになる様だ。

 高速の架橋を離れ一般道の縁を歩くことにする。

 腹減った。

 飢え死にはしたくねーな。

 公園の水道が目に入ったのでそれに飛びつく。

 空腹を紛らわせるためにこれでもかってぐらい腹に詰め込む。

 水だけで何日生きられるんだっけかな。

 まあどうでもいいんだけな。

 そして、再び歩き出す。

 もう、テーピングした足に感覚がない。

 何度歩道橋を上り何度歩道橋を下ったか。

 道に迷わない為、常に国道を歩いて京都を目指している。

 今度は暑い。

 一体関西ってどうなってるのさ。

 名も知らぬ川の縁を歩きながら太陽を恨む。

 っていうか、歩道が無いんですけど……。

 一応白線が引かれているが、人一人満足に収まらない。

 こんな道路ってありなのかよ。

 俺の横を走る車輌は50キロ以上で走っている。

 50キロ制限の道路だからな。

 俺はそんな道をひたすら歩いた……。



 夜。

 ようやく京都に着いた。

 だが、俺が過去に見た京都とずいぶん違っていた。

 観光名所のはずなのに道路だらけ。

 おまけにそいつの後ろにはマンションやらコンビニやら。

 こりゃ、観光客へってんだろうな。

 京都駅に着くと沢山の人で賑わっていた。

 勿論、そのなかには観光客も沢山いる。

 別に減ってはいないのか?

 俺は、それを尻目に駅の前に座わり込むことにする。

 今日はここで過ごそう。

 明日になれば飯は食える。

 金を振り込んでもらえるよう家族に頼んだから。

 だが、これだけ人がいるとさすがに眠れない。

 2時間してようやく眠ることが出来た。

 だが、直ぐに起こされた。

 警備員にここでねるんじゃないと注意されたのだ。

 あー。

 うぜぇ。

 じゃあ、何処で寝ればいいんだよ。

 言ってやりたかったが警察の厄介になりたくは無いのですごすごと別の寝床を探す。

 絶対眠れない。

 また、あの寒さがやって来る。

 俺はここ数日で、大阪、京都が嫌いになった……。


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2006/08/05(土)