二章.十二話
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 ――もう嫌だ。

 どれだけ心の中で叫べば気が済むのだろう。

 ――いつになったら死ぬのか。

 未だに生きている俺は、実は死ぬ気なんか無いんじゃないか。

 ――助けて……。

 自分ではどうにもならないから誰かが助けてくれるまで待っているのかも知れない。

 そんな感じで自分を疑う。

 その繰り返し。

 そしてまた滑稽な自殺を行う。

 どんなに首を縛っても自分の力で死ねるものじゃない様だ。

 身体が自然とそれをセーブしてしまうのだろう。

 今日何度目か解らない薬を口に放る。

 明日が来なければいい。

 胃が痛い。

 生きていたくない。

 煙草に火を付けそんな想いを煙に載せる。

 幸せって何だろう。

 また意味の解らない問いを自分に投げかける。

 ふっ。

 煙草の火を消し首をハンカチで締め付ける。

 近くにあったボールペンを結ぶときに挟みそれをぐるぐると回して固定する。

 いつもより確実に首が絞まっている。

 もう少し。

 一度固定したボールペンをはずし、更に強い力で回らなくなるまで首を絞める。

 頭がすーっとする。

 もう少し。

 机の上にあった三角結びのビニール袋を頭から被る。

 これで、死ねるだろう。

 息をするたびにわしゃわしゃと音を立てるが薬のおかげで眠れそうだ。

 最近は夜眠れないと訴え睡眠抑制剤も出して貰っている。

 薬物中毒だな。

 俺には関係ないと思っていた。

 どうやら薬物中毒って奴は麻薬だけじゃないらしい。

 よく考えればわかる話だよな。

「ハー」

 声を出して溜息を吐く。

 俺は自殺するふりをすることで自己満足に浸っているのかもな。

 まだナルシストは捨て切れてないのか。

 誰かが言っていた。

『自信が無いならナルシストの方が遙かにマシだ』

 その通りだと思う。

 でも、ナルシストだったからこそ今こうなっているのだとも考えられる。

 くだらない。

 自分がこうなった原因を探ったところでどうなるっていうのか。

 だんだんと頭がぼーっとしてきた。

 酸欠。

 丁度いい。

 このまま寝ちまおう。

 部屋の明かりを消し、目を瞑る。

 もう。

 いいから。

 未練なんて無い。

 だから。

 死なせてください。

 誰に許しを願っているのか。

 神様って奴かも知れない。

 ひんやりと嫌な汗が一滴、俺の頬を伝っていった……。


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2006/08/09(水)