――夢だった。
俺ははっとして目を覚ます。
そうか、あれは夢だったんだな。
ぐっと立ち上がると腰に激痛が走る。
「っ……」
「大丈夫? あんたって良く気絶するのね」
気絶?
ああ。俺は気を失っていたのか。
「何で俺気絶してたんだっけ?」
「覚えてないの?」
彼女は丁寧に説明してくれた。
あの後管理人の部屋から戻った俺たちは部屋を巡って口論に発展。
で、俺が蹴り飛ばされ腰を強打して気を失ったと。
「夢じゃなかったのか! いや、それよりも腰打って気絶するもんなのか? てゆーか蹴るなよ!」
「一つずつにしてよ。それ、あんたの悪い癖よ」
何で俺が怒られているんですか。
ていうか、何であなたがそんなに冷静にしていられるのですか。
ああ。
確かに言われた通りかも知れない。
「そうじゃないだろ! 部屋ぐらいでキレるなよ!」
「あ、じゃあ私窓のある方ね」
「何でそうなっ……」
――夢だった。
俺ははっとして目を覚ます。
そうか、あれは夢だったんだな。
ぐっと立ち上がると腰に激痛が走る。
「っ……」
「大丈夫? あんたって良く気絶するのね」
デジャヴュ。
過去に数回こんな出来事があった気がする。
「いいです。もう俺窓のない方で……」
これ以上蹴られたら腰が保ちません。
仕方なく、窓のない方に段ボールを運び始める。
1つ2つ3つ……。
え?
そう言えば俺荷物3箱しか無かったな。
てことは、残り全部あいつのか!?
なわけない。
食器やら調理具やらの共用品。
これは今日使うからな。
がさごそとそれらをしまい始める。
「あ。早月〜。ご飯どうしよっか?」
「ん〜? 買い物行くのめんどくさい」
「じゃ、早月作ってよ」
えー。
冷蔵庫の中空っぽなんですけど。
そもそも、料理なんてしたことないんですけど。
「ソバぐらいゆでられるでしょ?」
ああ。
そう言えばまだ大量に残っていましたね。
早速取り出したばかりの鍋でお湯を沸かし始める。
「ところでつゆはどするんですか?」
「はい」
醤油。みりん。粉末状のだし。酒。
成る程。
これらを組み合わせて作るわけだな。
ボールにそれらを適当に入れて混ぜてみる。
暖かい方がいいか。
それを違う鍋にいれて火にかける。
と、ソバをゆでる鍋が沸騰したのでソバを突っ込む。
――省略。
完成!
いやあ、透き通るようなつゆと歯を弾くようなソバの腰!
完璧だ!
「……まずい」
「なんですとぉ!?」
全くこんな完璧なソバにケチつけるとはなんてヤツだ。
「ごちそうさま」
「はやっ」
なんて早さだ。
まだ食べ始めてから間もないのに。
「足りないから何かコンビニで買ってくるね」
だったら最初からそうしてくださいよ……。
2006/08/04(金)