一章.七話
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「へっへ〜。高校生になってもまた同じクラスだね」

「ああ。幼稚園から毎年クラス替えがあるのに同じってどんだけ確率低いんだろな」

 ってか、こいつが裏で操作してるとか。

 んなわきゃない。

「んっと。1−Eだってさ」

「E? いったい何組あるんだ?」

「A〜Zまであるよ」

 一体どんだけ、生徒集めてんのさ。

 いや、おかしい。

 受験したときの定員は180人だったはず。

 ああ。

 あの七光りが色々やったんだな。

「早月〜? 何ぼーっとしてるの?」

「いや、色々な……」

 どうでもいい事は忘れ、紀美に手を引かれ教室に向かう。

 成る程。

 校舎を新しく立て直したんだな。

 そこら中ぴかぴかだ。

「なあ。この校舎どれだけ短い期間で仕上がったんだろうな」

「はあ?」

 だって、おかしいじゃないか。

 合格発表を見に来たときはまだ、古い校舎のままだった。

 これも金の力なのか?

「早月なんか変だよ?」

「そうか? 俺が変なのか?」

「うん」

 そうですか。

 ここに来てから様々な疑問にぶちあたったのは俺の常識が一般の常識からかけ離れていたらしい。

 ガラッ。

 下らない事を考えている内に教室に着いた。

「ん?」

「え?」

 誰もいなかった。

 まだ、新しい机や黒板が寂しそうにそこにあるだけだ。

「えーと。教室を間違えたとか?」

「ううん。ここであってるよ?」

 これは一体どういう事だ。

 なんで誰もいないのだ。

「ああ。きっとまだ誰も来ていないんじゃないか?」

 そう言って足を一歩踏み出したとき……。

 バシュ。

 そんな音を立てて床が抜けた。

「んなー!?」

「早月? あ。え?」

 更に上から紀美も落ちてくる。

 俺たちは、凄まじい破裂音と共に水の中埋められた。

「ぷふぁが?」

 あまりの出来事に対処仕切れず溺れる。

「やあ。君たちでE組は揃ったよ」

 これもあいつのサービスの一環だと言うのですね。

 サービスの意味をはき違えている気がして堪らないのですが。

 なんとか、体制を立て直して、同じく溺れている紀美を助けてやる。

「で、このプールは一体何なんです?」

「上柳様の計らいです」

 やっぱりそうなのか。

「上柳のばかやろーーー!」

 そう叫んだ瞬間。

 俺は深い闇に包まれた……。


七川早月瀬本紀美

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2006/08/05(土)