二章.十六話
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 ――夜。

 今日の出来事をベッドの中で考えていた。

 結局今日もどんな部活なのか解らなかったな。

「でも、これから何が起きるのかドキドキする」

 そう、これが俺の今の心境。

「え? 何かするの?」

「いや、俺が何かするわけじゃないよ。いや、お前何やってんの?」

 いつの間にか紀美がベッドに潜り込んでいた。

「何って……。私がここにいちゃいけないわけ?」

「え?」

 あれ? いてもいいのかな? そうだよな別にいたって問題は無いよな。

「いいわけないだろ!」

「え?」

 いや、ナニイッテンダロコノヒトって目で見ないで下さい。

「ドキドキする?」

「いやしないから。例えお前がそこに裸でいてもドキドキしないから」

「うん。何も着てないよ」

「えっ?」

 思わず紀美の方を見てしまった。

 布団から顔を半分だけ出して俺を上目遣いに見ている。

 ドキッとした。

 元からこみ上げてきた生唾を音を立てず紀美に悟られないよう飲み込む。

「そんなわけないでしょ。それよりもいつまでここにいるつもり?」

「いつまでって……」

「ここ、私の部屋なんだけど」

「なんですと!?」

 慌てて明かりを付けて辺りを見回してみる。

 するとそこは確かに紀美の部屋だった。

「えっと……。邪魔したな」

「早月……」

 立ち上がろうとした俺の腕を早月が掴んだ。

 殴られる!?

「一緒に寝よ」

「はいい!?」

 えーっと。これはあれですか? 俺は誘われているんですか?

「一緒にってお前……」

「あ。変な事したら殺すよ?」

 だったら、自分の部屋に戻りますと言おうと下が、ずるずるともの凄い力で布団の中に引きずり込まれる。

「えーっと。紀美さん? 一体何を考えておられるのです?」

「すー……」

 寝てるし。

 これは、男としてやっぱりいかなきゃいけないきがする。

 手始めにそっと紀美の胸に手を伸ばした瞬間……。

 がっちりと抱きしめられた。

 おお。胸が良い感じにあたってる。

 その感触をしばし肌で楽しんでみる。

 幸せだ。

 だが、それもつかの間。

 紀美の腕にみるみる力が加わっていき身体がみしみしと音を立て始める。

「ちょ……。紀美痛い!」

 まずい。

 こいつが目覚めなきゃ俺死ぬかも知れない。

「紀美! 起きろ!! 俺死ぬ!」

「ふに?」

 どうやら俺の叫びは届いたらしく紀美の手から力が抜ける。

 助か……。

 みちみちみち。

「う゛がぁぁぁ!?」

 再び全力で抱きしめてきた。

 もう俺ダメかも知れない。

 その夜が更けても声にならない叫びが紀美の部屋にこだましつづけた。


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2007/01/01(月)